後輩が仕事でミスをした。
そして、彼はそのミスをしばらく隠していた。彼は自分で処理しようとしていたのだ。ミスを無かったものにしようとしたのだ。
後輩が自分一人の力でそのミスを解決できればそれでも良い。お客様にも、同僚にも迷惑をかけない状況で速やかに処理できるのであれば百歩譲って良しとしよう。しかし、ミス・トラブルが発覚した瞬間にそんなことは判断できない。そんな難しい判断は誰も出来ない。
であれば、ミス・トラブルを発見したら速やかに報告すべきなのだ。ミス・トラブルによる影響を最小限に止めリカバリーをする為に。
しかし、彼は報告せずに自分のミスを隠匿した。その結果、小さなミスは大きなトラブルに発展した。
仕事のミスを隠したいと思う心理
なぜ彼はミスを隠してしまったのか?
仕事でミスをした場合は速やかに報告するように日頃から指導していたのに、なぜ彼はそうしなかったのか?
彼がこのような行動を起こしたのには、会社の制度、職場の雰囲気、上司の態度、先輩である俺たちの日頃の対応に問題があったんだと思う。
恐らく、彼は怒られるのが怖かったのだと思う。また、同僚に迷惑をかける事を気にしたのだと思う。なぜなら、我社にはミスやトラブルを激しく嫌う雰囲気があり、実際ミスやトラブルが起こると大量の報告書を書かされるのだ。
そして、過剰なまでのトラブル対応、ミスの再発防止策を作らされる。その為には、かなり膨大な時間を割く事になる。
「怒られるのも嫌だし、人に迷惑をかけてしまうのも嫌だ。だったら、自分で何とかしたい」
そう思うのも仕方ないと思う。
ミス・トラブルの対処も仕事
そもそも、仕事にはミス・トラブルが付きものである。人間が作業をしている限り、ミスが怒らないほうが不自然である。
だからこそ、ミスが発生した時の対処法が制度化されているのであり、同じミスを繰り返すことがないように再発防止策を作らされるのだ。
このように、仕事のミス・トラブルについては、予めその対処法がマニュアル化されている。つまり、ミス・トラブルの対応も仕事なのだ。
ほとんどが不注意が原因で発生する仕事なので、余計な仕事を作ってしまったということは十分理解し、反省せねばならない。しかし、仕事なんだからそんなに落ち込む必要はない。別に、犯罪を起こしたわけではないのだから。
「ミス・トラブル対応も仕事」
これを理解していれば、ミスを報告することをそれ程怖がらなかったかもしれない。ミスを犯した自分を責め、激しく落ち込み、悩み、一人で抱え込まなかったかもしれない。
もっと、ミスに対して寛容な態度を会社も職場も上司も先輩も示すべきだったのだと思う。わざとミスやトラブルを起こそうと思って仕事をする社員なんていないのだから。
ミスやトラブルをすぐに報告できる雰囲気作りこそが一番求められる対処法、再発防止策なのかもしれない。
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