DINKsを選んだ理由はなんですか?|子どもができなかった30代後半夫婦の物語

DINKs夫婦には大きく3種類あります。

1つ目は「選択子なし(選択的子なし)」。健康上では問題が無いにもかかわらず、自らの意思で子どもを産まない選択をした人や、子どもを持たない方が人生を豊かに過ごせると言う考えを持つ人たちのこと。

2つ目は、「非選択子なし(子どもを持ちたかったができなかった夫婦)」。様々な理由で子供を生みたいという希望が叶えられなかった夫婦。不妊症や健康上の問題、経済的な理由などが主な原因。

3つ目は、「成り行き子なし」。特に子どもを持たないことを決めていたわけではなく、様々な事情が重なり、結果的に子どもをもうけなかった夫婦。結婚が遅れた、仕事が忙しかった、など様々な要因が考えられます。

今回は、「非選択子なし」の30代DINKs夫婦の体験談をご紹介します。

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結婚と家族計画の始まり

私たち夫婦は、夫が30代前半、私は30代後半で結婚しました。

年齢のこともあり、結婚してすぐに家族を増やしたいという思いが強く、特に私が30代後半ということもあって、子供を授かるためにできる限りの準備をしていました。私たちは、お互いに「早く子供を持ちたい」という願望を共有し、すぐに家族計画に取り掛かることにしました。

子供がなかなかできない現実

ところが、自然に子供を授かることは簡単ではありませんでした。

結婚してしばらくしても妊娠の兆候が現れず、月日が経つにつれて不安が募っていきました。夫も私も、仕事をしながらも心のどこかで常に「今月こそは」という期待を抱いていました。しかし、毎月のように期待が裏切られるたびに、少しずつ心が疲弊していきました。

不妊治療の開始とその苦しみ

子供を望む気持ちが強かった私たちは、専門のクリニックを訪れることを決断しました。

不妊治療の過程は、私たちが想像していた以上に厳しいものでした。身体的な負担だけでなく、精神的なストレスも大きく、治療のたびに感情が揺さぶられました。

特に私は、ホルモン治療や体外受精などの治療を受ける中で、自分の身体に対する自信を失いかけることもありました。夫も、私を支えたい一方で、どうすれば良いのか分からないという葛藤を抱えていました。二人で何度も話し合い、お互いの気持ちを確認し合うことが、唯一の救いでした。

子供ができづらい体質と向き合うこと

幾度となく治療を続けた結果、医師から「子供ができづらい体質」という診断を受けました。

この診断を受けた瞬間、私たちの心には大きな喪失感が広がりました。これまでの努力が全て無駄になったような気がして、しばらくの間は現実を受け入れることができませんでした。

それでも、お互いに支え合いながら少しずつ前を向くようになりました。私たちはDINKsとしての生き方を選ばざるを得なかったのです。しかし、この選択は「子供を持たない」という積極的な選択ではなく、「子供を持つことができなかった」という現実を受け入れた結果でした。

「選択子なし」という誤解とその辛さ

私たちは、不妊治療をしていたことを周囲に伝えることはありませんでした。

両親や友人、会社の同僚にも、治療については一切話していません。なぜなら、私たちはあくまで「夫婦二人で乗り越えるべき問題」と捉えていたからです。また、不妊治療の過程で感じた辛さや痛みを他人に共有することに抵抗があったことも、話さない理由の一つです。

そのため、周囲からは「選択子なし」と見られることが多く、時には「子供を持たないのは自己中心的だ」「子供を作らない選択をするのはずるい」といった心無い言葉を耳にすることもあります。

こうした言葉を受けるたびに、私たちの胸は痛みます。「選択子なし」という言葉が、私たちの現実とは全く違うものであることを理解してもらえないのは、本当に辛いことです。

子供を持つことの奇跡とDINKsとしての生き方

最近、メディアでも「選択子なし」の夫婦が増えているという話題が取り上げられることが増えています。しかし、私たちのように望んで子供を持てなかった人々もいることを、もっと理解してもらいたいと感じています。

子供を授かることは決して当たり前ではなく、奇跡であり、本当に幸せなことだと痛感しています。

私たちは、今でも「もし子供がいたら…」と考えることがあります。

たとえば、休日には子供と一緒に遊びに行ったり、家族旅行を計画したり、子供の成長を見守る喜びを味わいたかったという思いは消えません。しかし、そうした未来を思い描く一方で、私たちにはDINKsとしての新しい生き方が待っていることにも気づきました。

DINKsとしての生活は、子供がいないからこそできることがたくさんあります。例えば、夫婦二人で自由に旅行を楽しんだり、趣味に時間を費やしたり、自分たちのペースで生活を築いていくことができます。また、子供がいない分、経済的な余裕も生まれ、その分を自己投資や将来のために使うことができます。

DINKsとしての未来と希望

私たちは、子供がいないという現実を受け入れるまでに多くの時間を要しましたが、今ではDINKsだからこそできる生き方を楽しむことができるようになりました。

もちろん、子供がいる家庭とは違った形の幸せかもしれませんが、それでも私たちにとっては大切な日々です。

これからも夫婦二人で支え合いながら、DINKsとしての生活を追求していきたいと思っています。私たちは、子供がいないからこそできることを見つけ、それを楽しみながら生きていくことが、私たちにとっての幸せだと信じています。

最後に

私たちがDINKsになった理由は、自分たちで選んだものではありません。

それでも、今の生活に満足し、未来に希望を持って生きていきたいと考えています。子供がいないことを悔やむのではなく、DINKsだからこその人生を楽しむことで、お互いにとっての幸せを築いていくことができるのではないでしょうか。

もし、同じような境遇にいる方がいれば、どうか一人ではないことを知ってほしいと思います。そして、お互いを支え合いながら、DINKsとしての幸せを見つけていきましょう。私たち夫婦は、これからも前を向いて歩んでいきます。

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