DINKs・共働き夫婦と選択的夫婦別姓:メリット・デメリットと海外事例を踏まえ解説

「選択的夫婦別姓」というテーマは、昔から幾度となく議論されてきました。

直近では、自民党の小泉進次郎元環境相が党総裁選に立候補する意向を表明した際の会見で「私が総理になったら、選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」と発言し、ますます注目されています。

さて、日本においては、特にDINKs(共働き子なし夫婦)の増加に伴い、夫婦別姓を望む夫婦が増えてきました。

しかし、日本では法的に夫婦別姓が認められておらず、実際に選択できるケースは限られています。この記事では、DINKs夫婦にとっての夫婦別姓のメリット・デメリット、なぜ夫婦別姓にこだわる人がいるのか、そしてなぜこれまで夫婦別姓が認められてこなかったのかについて深掘りしていきます。また、海外の事例も交えながら、これからの夫婦の在り方について考察していきます。

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選択的夫婦別姓とは?

「夫婦別姓」とは、結婚後も夫婦がそれぞれの姓を保持することを指します。

日本では、現行の民法により、結婚する際に夫婦はどちらか一方の姓を選ぶ必要があり、約96%が夫の姓を選んでいます。このため、結婚後に女性が姓を変えることが一般的です。一方で、夫婦別姓を選択することができないことから、結婚をためらうカップルや、事実婚という形を取るカップルが増えてきています。

DINKs夫婦と夫婦別姓:なぜ選ばれるのか?

DINKs夫婦にとって、夫婦別姓は現代的で自由な結婚スタイルを反映しています。DINKs夫婦は、子供を持たない選択をすることで、自分たちのキャリアやライフスタイルに集中する傾向があり、夫婦のどちらか一方が姓を変えるという従来の結婚の形式に縛られない自由な関係を求めることが多いです。

1. キャリアと姓の関係

特に女性にとって、結婚後に姓を変えることは職場や社会での認知度に影響を与えることが少なくありません。女性が結婚後も自分の姓を保持することで、仕事上での混乱を避け、これまで積み上げてきた実績や信用を守ることができます。DINKs夫婦にとって、互いがキャリアを大切にし、平等な立場で働くことが基本であるため、夫婦別姓を選ぶことは合理的な選択肢となります。

2. 個人のアイデンティティを尊重

夫婦別姓を選ぶ理由の一つに、個人のアイデンティティを大切にしたいという思いがあります。

姓はその人の歴史や家族、文化を反映する大切な要素であり、結婚後も自分自身の姓を保持することは、自分のルーツやアイデンティティを尊重することにつながります。特にDINKs夫婦は、互いの個性や自由を大切にし、パートナーシップの中で独立性を維持する傾向が強いため、夫婦別姓はその価値観にマッチしています。

3. 法的手続きの簡略化

姓を変えると、銀行口座や免許証、パスポート、保険など多くの書類を変更する必要があります。これは非常に手間のかかる作業であり、結婚後の生活において大きな負担となります。夫婦別姓を選ぶことで、この手間を省き、スムーズな生活のスタートを切ることができる点も、大きなメリットです。

夫婦別姓にこだわる理由

では、なぜここまで夫婦別姓にこだわる人がいるのでしょうか?その背景には、個人の価値観や家族観、そしてジェンダー平等への意識が影響しています。

1. ジェンダー平等の視点から

夫婦別姓にこだわる理由の一つに、ジェンダー平等の問題が挙げられます。

日本では、結婚後に妻が夫の姓を取るのが慣習となっていますが、これは無意識のうちに男性優位の社会構造を反映しているとの批判もあります。女性が結婚後も自分の姓を維持することで、男性と対等な立場であることを示し、性別にかかわらず互いを尊重し合う関係を築こうとする意識が高まっています。

2. パートナーシップの多様化

夫婦別姓を選ぶ人々は、パートナーシップに対しても多様な価値観を持っています。

結婚とは単に法律的な契約ではなく、互いに自由で対等な関係を築くための選択であると考える人が増えています。DINKs夫婦にとって、家族の形は多様であり、必ずしも伝統的な枠組みに縛られる必要はないという認識が根底にあります。

3. アイデンティティの維持

姓は個人のアイデンティティや歴史を象徴するものであり、結婚後も自分自身であり続けたいと考える人が増えています。特に仕事をしている女性にとって、結婚後に名前が変わることは職場での認知度や信用に影響を与えるため、できるだけ姓を変えたくないという思いが強くなります。

なぜこれまで夫婦別姓が認められなかったのか?

日本では、夫婦別姓に関する議論は何度も行われてきましたが、いまだに法的に認められていません。その背景には、いくつかの理由があります。

1. 伝統的な家族観

日本社会では、家族は「一つの単位」であるという考え方が根強く残っています。

そのため、結婚後に夫婦が同じ姓を名乗ることが、家族としての一体感を表すものとされています。この考え方に基づき、夫婦別姓を選ぶことは「家族の分断」を象徴するものとして否定的に捉えられることがあります。

2. 法的整備の遅れ

夫婦別姓が法的に認められない理由の一つは、法律の整備が進んでいないことです。

日本の民法では、夫婦が同じ姓を名乗ることが義務付けられているため、別姓を選ぶ場合は事実婚や外国籍のカップルに限られます。さらに、夫婦別姓を認めるための法改正が進まない理由には、政治的な議論の停滞や保守的な意見が影響しています。

3. 社会的な理解の不足

夫婦別姓に対する社会の理解がまだ十分ではないことも法的整備が進まない理由の一つです。

特に地方では、夫婦が同じ姓を名乗ることが「当たり前」とされており、夫婦別姓を選ぶことに対して批判的な意見が根強く残っています。これにより、夫婦別姓を選びたいと思っても、家族や周囲の反対を受けるケースが少なくありません。

海外の夫婦別姓事情

1. アメリカ

アメリカでは、夫婦別姓は非常に一般的です。結婚後に妻が夫の姓を取る場合もあれば、両者が別姓を維持する場合もあります。特に、キャリアを重視する女性は、結婚後も自分の姓を使い続けることが多く、社会的にも自然に受け入れられています。また、夫婦が互いの姓を組み合わせた「ハイフネーテッドネーム」を選ぶことも一般的で、家族の一体感と個人のアイデンティティを両立させる手段となっています。

2. 韓国

韓国では、日本と同様に夫婦は同じ姓を名乗ることが義務

付けられていましたが、1990年代以降、夫婦別姓が法的に認められるようになりました。現在では、夫婦別姓を選ぶカップルも増えています。韓国においても、夫婦別姓を選ぶ背景には、ジェンダー平等や個人のアイデンティティを尊重する意識が高まっていることが影響しています。

3. フランス

フランスでは、法律的には夫婦がどちらの姓を名乗るかを自由に選べます。夫婦別姓や共通姓に対する規制が少ないため、結婚後も自分の姓を保持したいと考える人が多いです。フランスでは、個人の権利や自由が尊重される文化が根付いており、夫婦別姓を選ぶことは自然な選択肢の一つとされています。

結論:DINKs夫婦と選択的夫婦別姓がもたらす新たな家族の形

DINKs夫婦と夫婦別姓の選択は、日本社会における結婚観や家族の在り方を再考させる重要なテーマです。従来の結婚では、夫婦が同じ姓を名乗り、家族の一体感を重視することが基本とされてきました。しかし、共働きや子供を持たない選択をするDINKs夫婦が増える中で、夫婦別姓のニーズは高まりつつあります。夫婦別姓を選ぶことで、夫婦は互いの個性やキャリア、価値観を尊重し合い、より自由で対等なパートナーシップを築くことが可能になります。

夫婦別姓を選択するDINKs夫婦は、ジェンダー平等や個人のアイデンティティを大切にする傾向が強く、それが従来の「家族は一つの単位」という価値観と対立する場面も少なくありません。しかし、これは単なる社会的な対立ではなく、現代のライフスタイルや価値観の多様化に応じた自然な変化です。夫婦別姓の導入は、個々の自由を尊重し、柔軟な家族像を描くための一つのステップといえます。

特にDINKs夫婦は、子供を持たない選択をすることで、自分たちのキャリアやライフスタイルに重点を置き、その中で夫婦別姓が大きな意味を持つことが多いです。結婚後もそれぞれの姓を保持することで、互いの個性を尊重しつつ、結婚生活を築くことができます。また、姓を変えることによる不便さやキャリアへの影響を避けられるため、現実的なメリットも大きいです。

夫婦別姓が認められれば、日本においても結婚の選択肢が増え、より多くの人々が自分たちの価値観に合った結婚スタイルを選べるようになるでしょう。これにより、結婚という制度そのものが、多様な価値観やライフスタイルを受け入れる柔軟な枠組みへと変わる可能性があります。家族の在り方が変わることは、社会全体に新たな風を吹き込み、より自由で寛容な社会を築くための一歩となるでしょう。

また、海外の事例から学ぶべき点も多くあります。アメリカやフランス、韓国などでは、夫婦別姓が一般的に受け入れられ、法律や社会システムもそれに対応しています。日本も国際的な流れに合わせて、夫婦別姓を法的に認めることで、グローバルな社会の中で競争力を高め、個々のライフスタイルに柔軟に対応できる社会を築くことが求められます。

さらに、夫婦別姓の導入は、単に法的な問題にとどまらず、男女平等や個人の自由を尊重する社会の実現に向けた象徴的な一歩です。これまで夫婦別姓が認められなかった背景には、伝統的な家族観や社会的な抵抗がありましたが、現代の日本社会においては、そうした制約にとらわれず、多様な家族の形を認め合うことが求められています。

最終的に、夫婦別姓の問題は、個々の選択と尊重をどれだけ大切にできるかにかかっています。DINKs夫婦がその一例であるように、現代の夫婦はそれぞれのライフスタイルや価値観に合った形で家族を築く権利があり、そのための制度的なサポートが必要です。夫婦別姓の導入が進むことで、日本の家族の多様性が広がり、より豊かな社会が実現することが期待されます。

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