共働きで子供のいない夫婦、「DINKs」(Double Income No Kids|ディンクス)は、安定した収入によって生活に余裕が感じられる一方で、税金負担については気を付けるべきポイントが多くあります。
DINKs世帯は収入が増えることで、所得税や住民税といった税負担も相応に重くなる傾向にあるため、税制の仕組みや節税のコツを知っておくことが重要です。
税金対策をしっかり行うことで、無駄な支出を減らし、貯蓄や投資に資金を回すことが可能です。この記事では、DINKs夫婦が知っておくべき税金の基本知識から、節税方法や控除制度まで、具体的にわかりやすく解説します。
所得税の基礎知識
所得税の仕組み
所得税は、日本の所得税法に基づき、個人の年間所得に対して課税される税金です。所得税は累進課税制度が採用されており、所得が多ければ多いほど税率が上がる仕組みです。所得は、給与、事業所得、不動産所得などさまざまな種類がありますが、共働き夫婦の場合、二人ともフルタイムで働いていると、それぞれの所得が高くなる傾向があります。
また、共働きで収入が安定しているDINKs世帯では、年間の所得が高くなることで、税負担がさらに大きくなる可能性が高いです。所得税の基本的な仕組みを理解しておくことは、どのくらいの税負担がかかるかを予測し、節税に取り組むための第一歩です。
所得税の控除とは
所得税の控除とは、所得の一部を差し引くことで、課税対象額を小さくする仕組みのことです。控除を適用することで、最終的な所得税額が減少するため、節税効果が期待できます。DINKs夫婦に適用できる代表的な控除について見ていきましょう。
- 基礎控除
全ての納税者に対して適用される控除です。2021年の税制改正により基礎控除額が引き上げられ、所得に関係なく48万円が差し引かれます。基礎控除は、年収が増えれば増えるほど重要な控除となり、DINKs夫婦にも欠かせない基本的な控除です。 - 配偶者控除・配偶者特別控除
DINKs夫婦の場合、一般的には配偶者控除を利用することができませんが、配偶者の年収が一定の範囲内である場合には「配偶者特別控除」を受けることが可能です。例えば、パートタイムで働く配偶者が年収が103万円〜201万円の範囲である場合、配偶者特別控除が適用されます。所得制限はあるものの、該当する場合には利用を検討すると良いでしょう。 - 医療費控除
一年間で一定額以上の医療費を支払った場合、医療費控除が適用されます。DINKs夫婦であっても、もし大きな医療費が発生した場合には、医療費控除を受けることで所得税の負担を軽減することができます。医療費控除の対象には、医療費だけでなく薬や通院費も含まれるため、支払った医療費の領収書はしっかり保管しておきましょう。
住民税の基本と負担軽減のポイント
住民税の仕組み
住民税は、前年の所得に基づいて市区町村や都道府県に支払う地方税です。住民税は、所得税と異なり、前年の所得を基準に課税されるため、翌年に支払う税額が前年の収入に大きく左右されます。住民税には、均等割と所得割があり、均等割は一定額、所得割は所得に応じて課税されます。
DINKs夫婦の場合、双方が住民税を支払う必要があるため、特に収入が多い夫婦ほど住民税の負担が大きくなります。住民税の税率は地域によって異なり、負担が大きい地域もあれば比較的低い地域もあるため、引越しや転居を考えている場合には地域ごとの税率も確認しておくと良いでしょう。
住民税の軽減方法
住民税の軽減方法としては、所得税と同様に控除の活用が効果的です。基礎控除や医療費控除といった所得税で適用できる控除は住民税にも影響を及ぼし、所得控除の合計額が住民税の課税所得にも反映されるため、節税対策として重要です。
また、ふるさと納税の活用も有効です。ふるさと納税は、自治体に寄付をすることで税額控除を受けられる制度であり、実質2,000円の自己負担で特産品を受け取れるなど、節税と地域貢献の一石二鳥を狙えます。特にDINKs夫婦の場合、世帯年収が高いため、ふるさと納税の控除上限も高く、節税効果が高いです。
DINKsが活用すべき節税方法
イデコ(iDeCo)での老後資産形成
イデコ(個人型確定拠出年金)は、老後資産を形成するための制度であり、掛け金が全額所得控除の対象となるため、高い節税効果が期待できます。DINKs世帯では、双方がフルタイムで働き安定した収入があるため、イデコを利用して老後資金を効率的に積み立てることができます。イデコは、将来的な年金代わりになるだけでなく、所得税や住民税の節税にもつながるため、DINKs夫婦に特におすすめです。
ふるさと納税で地域貢献と節税を両立
ふるさと納税は、全国の自治体に寄付を行うことで、その金額が住民税や所得税から控除される制度です。DINKs世帯では、控除の上限額が比較的高いため、多くの自治体に寄付を行うことで、様々な特産品を受け取りながら税金を軽減することが可能です。
ふるさと納税の控除上限は、年収や家族構成によって異なります。DINKs夫婦は子供がいないため、他の世帯よりもふるさと納税の上限が高く設定される傾向があります。例えば、年収700万円のDINKs夫婦の場合、ふるさと納税の上限は10万円程度となり、この範囲内で寄付を行うことで効果的に節税を行えます。
資産の相続と贈与に関する注意点
DINKs夫婦と相続税
DINKs夫婦は、基本的には子供がいないため、配偶者間での相続が発生する可能性が高いです。相続税は、故人の財産を受け継ぐ際に課される税金で、配偶者には「配偶者控除」という特例が適用されるため、多くのケースで非課税となります。しかし、配偶者が亡くなった後の相続には課税がかかるため、夫婦のうちどちらかが亡くなった際の資産の承継についてしっかりと計画を立てておくことが重要です。
例えば、不動産や預金などの資産をどのように分けるか、事前に親族と話し合っておくことで、相続税の負担を減らし、遺
産をスムーズに引き継ぐことができます。DINKs夫婦は相続について考える機会が少ないかもしれませんが、計画的な相続対策は重要です。
贈与税の活用
また、DINKs夫婦では親からの援助を受けるケースが少なくないため、贈与税についても知っておくと役立ちます。例えば、毎年110万円までの贈与には贈与税がかからないため、親からの贈与を年ごとに分けて受け取ることで、贈与税の負担を軽減しながら資産を形成することができます。親からの支援を受けて家計を安定させる際には、贈与税の非課税枠を活用すると良いでしょう。
おわりに
DINKs夫婦が知っておくべき税金の知識と節税方法について詳しく解説しました。
収入が安定しているからこそ、賢い節税対策を講じることで、将来の資産形成や生活のゆとりにつなげることができます。税制や制度は定期的に見直されるため、常に最新の情報を確認し、自分たちの生活スタイルに合った方法を取り入れましょう。
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