近年、日本において共働き世帯が急増しているのは、「経済状況の変化」「社会構造の変化」そして「価値観の多様化」といった、複数の要因が複雑に絡み合っている結果です。
経済的な側面では、物価の上昇や教育費の高騰など、生活費が以前よりも大幅に増加していることが挙げられます。そのため、安定した生活を送るために、夫婦二人で働かなければならないと考える世帯が増えています。また、少子高齢化が進み、年金や社会保障制度への不安が高まっていることも、共働きを後押しする要因の一つです。
社会的な側面では、女性の社会進出が大きく進んでいることが挙げられます。女性の高等教育への進学率が上昇し、キャリアを築きたいと考える女性が増加しました。また、企業においても、女性の活躍を推進する動きが活発化し、女性が働きやすい環境が整いつつあります。さらに、育児や介護に関する社会制度が整備され、男女ともに仕事と家庭を両立しやすくなったことも、共働き世帯増加の要因の一つです。
価値観の多様化という点では、従来の「男性が働き、女性が家庭を守る」という価値観が変化し、多様なライフスタイルが受け入れられるようになってきたことが挙げられます。男女平等意識の高まりや、個人の幸福を重視する価値観の広がりは、共働き世帯の増加を後押ししています。
というこことで、共働きを選んだ夫婦に対するとあるアンケート結果を集計し、分かりやすく6つにまとめてみました。
共働きを選ぶ夫婦が増えている背景には、さまざまな理由が存在しますが、中には前向きな理由もあれば、状況に追われて選ばざるを得なかったという後ろ向きな理由もあるでしょう。それぞれの夫婦がどのような経緯で共働きを選んだのか、具体的な理由を6つ挙げてみます。
1. 経済的な安定を求めて
多くの夫婦が共働きを選ぶ最大の理由の一つは、経済的な安定を確保するためです。
現代社会において、生活費や住宅ローン、子どもの教育費などがかかるため、一人の収入だけでは十分にカバーできないことが多いです。特に、将来的に住宅を購入したい、子どもを私立校に通わせたいといった大きな目標がある場合、二人とも働くことでより安定した収入を得ることが必要不可欠です。
ある30代の夫婦は、結婚当初は専業主婦でいることを望んでいましたが、思い描いていた以上に生活費がかさむことに気付き、共働きを選ぶことにしました。夫の収入だけでは家計が厳しく、長期的な目標であるマイホーム購入を実現するために妻も働く決断をしました。
2. 自己実現とキャリアの維持
もう一つの共働きを選ぶ理由として、自己実現やキャリアの維持が挙げられます。
特に女性にとって、結婚や出産後も仕事を続けたいと考える人が増えています。自身のキャリアを諦めたくない、仕事を通じて成長し続けたいという強い思いがある場合、共働きが最善の選択となります。
ある40代の夫婦では、妻が長年かけて築いてきたキャリアを大切にしており、結婚後もそのキャリアを続けたいと考えていました。夫もその意志を尊重し、二人で支え合いながら共働きを選びました。結果として、二人とも仕事に充実感を感じながら、家庭生活も大切にすることができました。
3. 家事や育児の負担を分担できるパートナーシップの強化
共働きを選ぶことで、家事や育児の負担を分担しやすくなることも理由の一つです。
夫婦共に働いている場合、自然と家事や育児の責任も二人で分け合うことが求められます。これにより、パートナーシップが強化され、二人の関係がより平等で協力的になることが期待されます。
例えば、ある共働き夫婦は、二人で協力して家事を分担することで、家庭内のストレスを減らし、お互いの時間を尊重し合うことができるようになりました。結果として、家庭内の雰囲気が改善され、夫婦間のコミュニケーションも円滑になりました。
4. 子育てにおける柔軟な働き方を実現するため
現代では、夫婦共に働くことで、子育てにおいても柔軟な働き方を実現するケースが増えています。
共働きであれば、どちらか一方がフルタイムで働くのではなく、二人で協力して時間を調整しながら育児に取り組むことができます。また、子どもが幼い時期には、どちらかが時短勤務やリモートワークを選択することで、家庭と仕事のバランスを取りやすくなります。
ある夫婦は、子どもが生まれた後、どちらか一方が専業主婦（夫）になるのではなく、共に働くことを選びました。夫がリモートワークを取り入れ、妻は時短勤務を選ぶことで、育児にもしっかりと時間を割くことができるようになり、家庭内のバランスが保たれました。
5. 社会的なプレッシャーや期待からの選択
一方で、共働きを選ぶ理由には社会的なプレッシャーや期待もあります。
特に、女性が仕事を辞めることなくキャリアを続けることが「理想的」とされる風潮が強まっている中で、「専業主婦になると批判されるのでは」という不安やプレッシャーを感じることがあります。その結果、夫婦共に働くことが当然と考え、共働きを選択することがあります。
ある夫婦は、妻が職場でのキャリアを諦めることに対して周囲からの批判を恐れ、共働きを選びました。彼女は、自分の選択が「正しい」と証明するために、仕事を続ける道を選んだのです。このような理由で共働きを選んだ夫婦は、時にプレッシャーと戦いながら日々を過ごしていることが少なくありません。
6. 個々の趣味やライフスタイルを維持するため
最後に、共働きを選ぶ理由として、個々の趣味やライフスタイルを維持したいという思いが挙げられます。
二人がそれぞれの仕事や収入を持つことで、趣味にかけるお金や時間の自由が広がり、自分自身のライフスタイルを大切にすることができます。これは、特にDINKs（共働きで子どものいない夫婦）に多く見られる理由です。
ある30代の夫婦は、共働きであることで、旅行や趣味にかける費用を自由に使えることを楽しんでいます。彼らは、子どもがいないため、二人の時間を最大限に楽しむために共働きを続けることを選びました。結果として、夫婦それぞれが自分の好きなことに打ち込みながら、充実した生活を送っています。
まとめ
共働きを選んだ夫婦には、それぞれ異なる理由が存在します。
経済的な安定やキャリアの維持、家庭内のパートナーシップの強化、育児と仕事のバランスを保つためなど、前向きな理由も多い一方で、社会的なプレッシャーや状況に追われての選択もあるでしょう。
しかし、いずれの理由にせよ、共働きを選んだことで得られる充実感や達成感は大きなものです。夫婦が共に支え合い、協力して生活を築く姿勢が、共働きの魅力をさらに高めています。
コメント