年々、知人の中で転職をする人が増えてきている。
勤めている会社も業界も様々だし、年代も20代、30代、40代と多岐に渡る。
日本でも人材の流動化が促進され、転職市場が拡大しているのを肌身で感じる。実際、一昔前まで転職の限界は35歳なんて言われていたのに、40代の知人も満足行く転職をしてるんだから驚きだ。
で、転職の理由は、ざっと以下のような感じ。
- 今の会社の将来性に不安を覚えて転職した。
- 今よりも高い年収を求めて転職した。
- 今よりもやりたい仕事を見つけた。
- 今の仕事がつまらなかったから。
- 人間関係に問題があって転職した。
- 残業が少ない、休日出勤が少ない会社で働きたかった。
- 地方への転勤を命じられ、単身赴任したくなかったから。
- リストラされたから致し方なく。
- 早期退職制度に応募しての転職。
転職に求めている事が人それぞれ違う。
で、私は40代なのでアラフォー同年代の転職者の意見に特化してみると、「早期退職やリストラが原因かなぁ〜」と思っていたら、意外と違っていた。
「仕事よりも家庭との生活を大事にしたい」「プライベートを充実させたい」という、いわゆる”ワークライフバランス”の実現を求めての転職が多いのだ。
ワークライフバランスとは何なのか?
「ワークライフバランスが良い企業って何が良いのだろう?」
と考えてみたところ、「残業が少なく、週休2日が徹底され、有休も自由に取得できて消化率が高い会社」というイメージが湧いた。
しかし、実際にワークライフバランスの充実を求めて転職してる人の話を聞くと、これが正解とは言えなかった。というか、正解はなく人によって異なっていたのだ。
ワークライフバランスを日本語にすると「仕事と生活の調和」。
つまり、何か定義があるわけではなく、仕事と生活のバランスが取れていることであり、バランスなんて人それぞれ。
ちなみに、定義を調べてみると内閣府が以下のように定めていた。
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態である。
さらに、具体的な定義としては・・・
- 就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。 - 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。 - 多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。
ということで、「ワークライフバランスの定義は人それぞれであり、仕事と生活のバランスが取れる働き方を自由に選択できること」であり、働き方を自由に選択できるということが重要なのである。
40代からのワークライフバランスの充実とは?
この記事を書きはじめた時、40代のワークライフバランスの充実のためには、どんな取り組みをすれば良いのかをまとめるつもりだった。
しかし、冒頭の記事を書くために情報収集した結果、正解がないことが分かった。
40代といっても、仕事では管理職だったり平社員だったりするだろうし、プライベートで言えば、結婚してたり独身だったり、子供がいたりいなかったりと様々・・・。
ちょっと考えただけでも、これだけ多種多様な生き方がある人たちに共通するワークライフバランスを充実させるための要素・取り組みを見出すのは難しい。
ただ、一つだけ言えるとすれば、体力的な問題。
今まで体力と気合と根性で乗り切ってきた働き方が40代では通用しない。つまり、長時間労働や膨大な残業時間、休日出勤なんかで仕事をこなしていくわけには行かない。
「健康的かつ充実した仕事をするためには、どのように働き方を変えるべきなのか?」ということは考える価値がある。
転職せずに実現できないのか?
一方、「40代からのワークライフバランス」とネットで検索してみると、関連ワードとして「転職」というキーワードが現れる。
つまり、ワークライフバランスの充実を求める人は、今の会社では無理だと判断し、自分の求める働き方ができる企業への転職を求める傾向にあるのだろう。
しかし、この数年で日本政府が「働き方改革」を掲げ、法律により企業にも従業員の働き方の見直しを働きかけている。
ワークライフバランスへの取り組み推進は、一企業で行われるのではなく、日本政府が関与することにより日本の企業全体での取り組みに発展しており、様々な制度が展開されている。
ワークライフバランス充実へ向けた取組事例
- 残業規制の導入
- ノー残業デーの導入
- フレックスタイム制の導入
- 育児休暇の取得推進
- 短時間制度(時短勤務)の導入
- テレワーク(在宅勤務)の導入
- ワークシェアリングの導入
- ワーケーションの導入(ワーク+バケーション)
- カジュアルデーの導入(オフィスカジュアル・服装自由化)
これだけ様々な取り組みが実施される様になると、わざわざ転職をしなくても今働いている会社で自分が求める働き方の実現が可能になる。
もちろん、各種制度が導入されても、それが実際に利用されなければ意味がない。実際、有給休暇制度は昔から日本の多くの企業で導入されているが、その消化率は世界的に見て最低ランク。
いくら制度が充実しても、それを気軽かつ自由に利用できる雰囲気が会社(職場)になければ、意味がない。
しかし、「意味がない」と諦めて転職するのはもったいないと思う。ワークライフバランスの充実のために活用できる制度がせっかくあるのであれば、利用すればいいと思う。転職という大きな人生の決断をする勇気と行動力があれば、制度を利用することなんて簡単にできるのではないだろうか?
そして、制度を利用する人が少ないとしても、自ら先陣を切れば後に続く人は多いはずだ。
一人ひとりと制度を利用する人が増えていけば、制度を利用しやすい雰囲気が加速度的に醸成され、働きやすい会社・職場になるのは間違いない。
どんな社畜だって、本心では働きたくないはず。ワークライフバランスの充実を嫌がって、本気で阻止しようとする人なんていないはずだから。
もし、そんな人がいるようであれば、人事部等に訴えちゃばいい。各種制度を導入した人事なら、制度の浸透を邪魔する迷惑な社員に制裁を加えてくれるはずである。
ということで、転職する勇気と行動力があるなら、今働く会社・職場の雰囲気を変え、自ら働きやすい環境を整備しよう!
ま、そもそもワークライフバランスの充実を目指すための制度自体がない会社なら、転職するのが手っ取り早いけどね・・・。
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