事業者は自社製品を販売する為に様々なマーケティング手法を活用します。
しかし、時には行きすぎた販売促進手法により、消費者を欺き、半ば詐欺まがいになることも。
そんな事例がニュース報道されています。
東京工業大学の調査によれば、国内で配信されているショッピングやSNS、ゲームなどの主要アプリの9割に、「ダークパターン」と呼ばれる消費者を不利益な選択に誘導する画面デザインが採用されていることがわかった。
ダークパターンは消費者を欺き、商品を購入させる手法であり、欧米では規制が進んでいるが、国内では対応が遅れている状況です。
今回は、そんなダークパターンについて考察します。
ダークパターンの意味と定義
ダークパターンとは、ウェブサイトやアプリのデザインにおいて、消費者を不利な選択に誘導し、意図しない行動を起こさせる手法のことです。
経済協力開発機構(OECD)は、消費者を欺き、操作し、被害を引き起こす可能性があると警告しています。
ダークパターンの具体的事例
例えば、事前に定期購入が自動的に選択されることで、消費者が無意識に定期的な支払いをしてしまう「事前選択」が挙げられます。
また、広告が何度も表示されることで、消費者をうんざりさせる「繰り返し」や、偽のカウントダウンを使って購入を急がせる「翻弄(ほんろう)」などが一般的な手法です。
- 「事前選択」のダークパターン:
オンラインショッピングサイトで商品を購入する際、チェックボックスにデフォルトでチェックが入っており、消費者が意識せずに定期購入が自動的に選択される場合があります。これに気づかずに進んでしまうと、継続的に商品が届き、不要な支払いをしてしまう可能性があります。 - 「繰り返し」のダークパターン:
一部のアプリやウェブサイトでは、広告が頻繁に表示され、閉じるボタンを探すのが難しい場合があります。これにより、消費者は広告を何度も見せられ、イライラさせられた結果、思わず意図せず広告をクリックしてしまう可能性があります。 - 「翻弄(ほんろう)」のダークパターン:
購入を促進するために、タイムセールや偽のカウントダウンが利用されることがあります。消費者は急いで行動する必要があるよう錯覚し、思考停止して商品を購入してしまうことがあります。しかしこれらのタイムセールやカウントダウンは実際には不正確であり、消費者を不要な行動に駆り立てる手法です。
ダークパターンの問題点
ダークパターンは消費者に対して不誠実であり、自然な選択や意思決定を阻害します。
消費者が本来望まない商品やサービスを購入させられたり、無意識に高額な支払いを行ってしまう危険性があります。
また、心理的なプレッシャーや混乱を引き起こすことで、信頼関係を損ねる結果にも繋がりかねません。
- 消費者の意思決定への影響:
ダークパターンは消費者の意思決定に悪影響を及ぼします。消費者は本来望んでいない選択を強制されたり、不要な商品を購入させられる可能性があります。これにより、消費者が納得して選んだ商品やサービスを享受できなくなり、満足度が低下する恐れがあります。 - 信頼関係の損失:
ダークパターンを使用することで、企業やサービス提供者の信頼性が損なわれる可能性があります。消費者は、欺かれたり操作されたりした結果、企業に対する信頼を失い、将来的な取引や利用を避ける傾向が生じるかもしれません。信頼関係の構築は時間がかかりますが、簡単に崩れる可能性があります。 - 倫理的な問題:
ダークパターンは倫理的な観点からも問題があります。消費者の知識や意思決定を利用して、利益を追求する手法は、不正なビジネス行為とみなされることがあります。ダークパターンの使用により、企業やサービス提供者の社会的評判が低下し、法的な問題や規制に直面する可能性があります。
これらの問題点により、ダークパターンは消費者と企業の関係に悪影響を及ぼし、公正なオンライン環境の構築に障害をもたらす要因となっています。
ダークパターンに騙されないための対策
- 慎重な確認: 重要な決定をする前に、ウェブサイトやアプリでの画面や設定を慎重に確認しましょう。急がずに時間をかけて考えることが大切です。
- 知識を持つ: ダークパターンの種類や典型的な手法について学び、注意することで騙されにくくなります。
- 信頼性の確認: 不明瞭な情報提供や強制的な行動を要求する場合は、そのウェブサイトやアプリの信頼性に疑問を持ちましょう。
- 不適切な行為の報告: ダークパターンを発見した場合は、関連機関や消費者保護団体に報告し、他の消費者を守る役割を果たしましょう。
まとめ
ダークパターンに騙されないための心構えはいくつかあります。
まず、重要な決定をする前にウェブサイトやアプリの画面や設定を慎重に確認し、急がずに時間をかけて考えることが重要です。
さらに、ダークパターンの種類や典型的な手法について学び、注意深く行動することで騙されるリスクを減らすことができます。
信頼性も重要なポイントです。
不明瞭な情報提供や強制的な行動を要求するウェブサイトやアプリには注意を払い、信頼性に疑問を持つようにしましょう。
また、ダークパターンを発見した場合は関連機関や消費者保護団体に報告することで、他の消費者を守る役割を果たすことができます。
これらの心構えを持つことで、ダークパターンに対する理解と警戒心が高まり、より公正なオンライン環境での活動が可能となるでしょう。
消費者として自己防衛の意識を持ち、より安全なオンライン体験を追求しましょう。
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