少し昔の話になるが、妻の愛を感じる出来事があったので、その時のことを思い出して記録に残しておこうと思う。
それは妻の誕生日のことであった。
まず、基本的に私は妻にプレゼントを送る時はサプライズをしない。
なぜなら、彼女が喜ぶプレゼントを選ぶ自信がないからだ。私にはファッションセンスや美的センスが無いので、こっそりとプレゼントを選ぶと絶対に失敗する。
妻が気に入らない物を買ってしまう。
だから、何かの記念や誕生日には妻と一緒にプレゼントを買いに行くようにしている。
まぁ〜、女性というのは内緒やサプライズでプレゼントしてもらうことに憧れを抱いたり、望んだりすると思うが、気に入らない物をプレゼントされるよりはマシだろうと思い、ずっとそうしてきた。
しかし、なんのセンスの欠片もないこの私が、妻に内緒でプレゼントを購入し、誕生日にサプライズ出来るチャンスが到来したのだ。
妻が欲しいものが分かった!
彼女の誕生日の数ヶ月前、暇を持て余していた休日に時間つぶしとして銀座に遊びに行った時だった。
特に何かを買うことを目的としていたわけではなく、夕食までの時間つぶしとしてデパートを回ってウィンドウショッピングをしていた。
すると、妻があるブランドバッグを指差し「いつかこのバッグ欲しいんだよねぇ〜」とつぶやいたのだ。
彼女が「すぐ欲しい」ではなく「いつか欲しい」といった理由は明確で、同じような形のバッグを持っていたからだ。しかし、そのバッグはもう5年程前に購入したもの。大事に使っているので、まだまだ使えるのだが、とは言えもう5年である。
買い替えても罰は当たらないだろう。
ということで、このブランドバッグをサプライズプレゼントすれば、妻は驚き、喜ぶこと間違い無しなのである。
ブランドバッグをサプライズプレゼントした結果
早速結論から書くが、妻にブランドバッグをプレゼントしたところ、私が想像していないような反応を示したのである。
「えぇ?このバッグ買ったお金はどうしたの?」
「嬉しいぃ〜!」とか「ありがとう!」ではなく、「お金どうしたの?」が彼女の第一声だったのだ。
驚いたのは私の方だった。
まさか、プレゼントを買うためのお金について問い詰められるとは思わなかった。
というのも、我が家はお小遣い制。
よって、私がこんなブランドのバッグを買う金なんて持っているわけ無いのだ。だから、まずプレゼントの購入資金に対して彼女は疑問を持ったのだろう。
もちろん、私はこの質問に対して、お金の工面について事細かく説明するつもりは無かったので、「いいじゃん。俺のヘソクリからだよ」と伝えた。
しかし、月4万円のお小遣いしかもらっていな私がこんな金額のヘソクリを貯めることが出来るわけ無いと、更に妻はお金の出処を問い詰めてきた。
仕方ないので、私はどうやってこのブランドバッグを買うためのお金を貯めたのかを説明した。
その方法とは、毎月もらう4万円のお小遣いから節約して1万円を捻出し、1年間かけてコツコツ貯めたのだ。もちろん、4万円のお小遣いから1万円を捻出するのは結構大変だった。当時はタバコも吸っていたし、飲み会も2週間に1回程度行っていたので本当に節約を頑張った。
つまり、食費を削っていたのだ。いつもは昼食代に800円〜1,000円かけるところを、500円前後に抑えて節約した。
その話を聞いた妻は、次にどんな反応をしたかというと・・・
「ありがとう。1年間も頑張って節約してくれたんだね。嬉しい!」
と、言うと思ったのだが全く違った。彼女の口から出た言葉とは・・・
「食費をケチったの?1年間も?健康に悪いじゃん。そんなことしてプレゼントもらっても嬉しくないよ。ちゃんとご飯食べてよ!!」
私は、面食らってぽかんとするしか無かった。
この妻の反応に対して、なんと返せばいいか全く分からなかった。
そして、次の瞬間、怒りが沸き上がってきた。「1年間苦労してサプライズプレゼントの準備したのに、ありがとうの1つもないのかよ!」と。
しかし、この気持を言葉にはしなかった。
心の中でつぶやいただけにした。というのも、妻はこのブランドバッグをプレゼントされて嬉しくないはずはないのだ。だって、ずっと欲しかったものなのだから。
にも関わらず、自分の嬉しいという感情よりも先に、私がどうやってこのバッグを買うためのお金を工面したのかを心配し、その方法が食費の節約だと聞いて喜びよりも俺の心配をしたのだ。
ま、その心配を表す表現として、私を叱るという方法を選択したことはどうかと思うが、自分の喜びよりもまず私のことを心配してくれた嫁さんの気持ちは嬉しい。
俺、本当にいい妻をもらったんだな。
と、妻からの愛情を感じた数少ない?出来事だった。
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